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勝手にトレンドウォッチャー 次は絶対、コレが来る!専門家が次のトレンドを大予想!?

飲食店プロデューサー、フードコーディネーター、マスコミ業界人など、食に関わる専門家が「次なるトレンド」というテーマで私論を展開します。当たるも八卦、当たらぬも八卦。さて、今月の専門家は何を予想しますやら…。

9月のゲスト 野淵幸作 蘭旺株式会社代表取締役 C.E.O 私が気になるもの 卵かけご飯

9月のゲストはこだわりの卵を販売する蘭旺の野淵幸作さんです。日本の農業のあり方に疑問を抱き、会社を辞めてまで旨い卵を生産したという野淵さんが、トレンド候補に挙げたのはシンプルな卵かけご飯。誰もが食べた経験のあるこの単純なメニューが、なぜ復活の兆しを見せているのでしょうか。卵の世界の動きとともにその理由を語ってくれました。

高級卵が持て囃される時代

 卵は物価の優等生なんて言っていたのは一昔前のこと。今では値の高い卵がどんどん売れているんですよ。高級卵が世に認められたのは「ヨード卵光」がきっかけ。これが売れたことにより「ビタランE」「ぴあっこゲンマン」といったブランド卵が市場をにぎわすように。かく言ううちも「珠美人 卵・舞卯」を出しており、1個100円もする高級もの。芦屋の百貨店ではコレが飛ぶように出るんですよ。
 卵はこれまでスーパーの宣伝用に使われた節があり、チラシで○○円なんて安値をつけると、そこに避費者が殺到したわけです。安い卵が提供されるのはいいことかもしれませんが、安く設定するがゆえに、養鶏場の環境の悪化を呼んだのも事実。それ産めや、という傾向はその質を悪くする原因となったのです。一時期、生卵は臭いとされ、生で食すことを避けた避費者も多かったはず。それに飽食の時代が加味され、卵かけご飯は食卓から追われたのです。
 一見、忘れられたかに見えた卵かけご飯が、このところ脚光を浴びつつあります。聞くところによると、昨年島根県で卵かけご飯のコンテストが行われたとか。どんな内容だったかは知りませんが、その復活を願う私にとっては興味深い知らせでした。そう言えば、最近、卵かけご飯専用の醤油も発売されています。
 私が思うに卵かけご飯は日本人のDNAに訴えかける何かがあると思うんです。いつ誰が始めたかはわかりませんが、シンプル・イズ・ベストのグルメだと思いませんか。

高級卵写真

京都のバーで卵かけご飯が人気に

 うちの卵を取ってくれている店で京都に「志庵(しおん)」というバーがあります。ある日、知人に連れられ、三条烏丸にあるこのバーに行ったのですが、その店の店長に「この高級卵をあげるから卵かけご飯を出せ」と言ったんです。すると、店長は「面白そうですね」とあっさり。バーに卵かけご飯なんてと言わないのです。「この卵は、臭みもなく、濃厚でいいですね」と言って作り始め、今ではレギュラーメニューになっているんです。先日、店長に「それって出ているの?」って聞くと、「お客さんが絞めのラーメン代わりに注文するんですよ」ですって。やっぱり日本人は昔食べたあの味が忘れられないですよ。

生たまご写真

 卵の避費量が圧倒的に多いのはイスラエル、アメリカ、日本の3カ国。でも、日本以外の国はまず生では食べません。外国ではサルモネラ菌の心配があるからでしょう。まず彼らは生は口にしませんね。
 私がドイツに行った時のこと、ドイツ人に高級卵を渡し、半熟状態のスクランブルエッグを作らせた。すると、彼らは「この卵旨いね」と感動するんです。だから次は生で食べろと強制を。初めはかなり嫌がっていたんですが、この珍客に悪いと思ったのか、苦痛な顔をして仕方なしに飲み込んだんです。一瞬、「ウェッ」と言ったかと思うと、次には「甘い!」と。初めて生卵の旨さを彼らは実感したそうです。翌日、卵パーティーをやろうと、その家にかなりの卵を置いていたんですが、帰ると影も形もない。奥さんに聞くと、生卵の旨さを広めたくて、近所の人に全部あげたんだとか。やはり、生卵の旨さがわかるのは日本人だけじゃないんですよ。

醤油のかけ過ぎに要注意

 ところで皆さんはどうやって卵かけご飯を食しますか。お椀に卵を入れ、醤油をかけて溶き、それを温かいご飯にかけますよね。これが一般的な食べ方です。でも、本来の食べ方は違うんですよ。まず、茶碗に温かいご飯をつぎます。そこに卵を落とす。そばにある漬物に醤油をつけ、口に運ぶのですが、その時に漬物の醤油がポトリと卵の上に落ちる。その少量の醤油とともに卵かけご飯をズルズルとすするんです。本当に旨い卵を使うと、逆に醤油のかけすぎが風味を損なってしまうんですね。それと、卵かけご飯には味噌汁と漬物が必需品。セットにすることで栄養バランスが保たれるわけです。だから祇園の天プラ屋でも必ずセットで出しているんですね。
 最後に卵のトリビアをば。卵はMSからLを選んで下さい。LLや3Lは大きいから得というのは嘘。年老いた鶏が大きな卵を産むんです。なぜなら卵の産み過ぎで、産道が広がっているから。若くて元気な鶏は産道がしまっているため、小さい卵しか産みません。本当はSサイズがいいんですが、今では商売にならないから、これらは全て業務用に行く。昔はスーパーでもSサイズがあったんですがね…。
 いい卵とはエサが天然であること。水がいいこと。そしていかにストレスフリーで管理しているか。この三拍子揃った養鶏場から旨い卵が生まれます。ぜひ皆さんも高級卵を目にしたらこんなことを考えながら卵かけご飯の旨さを思い浮かべて下さい。シンプルな卵かけご飯を口にすることで、昭和の良き日が蘇って来るはず。日本人のDNAをくすぐる卵かけご飯こそ、次なるトレンドにぴったりじゃないでしょうか。

卵かけご飯写真

プロフィール

野淵幸作(のぶち こうさく)

京都でこだわり卵の販売とミネラルの開発を行っている。慶大卒業後、大阪ガスに入社するも日本の農業と食のあり方に疑問を抱き、退社。誰もが納得する味の卵を見つけ、行商を始める。高級卵のブームと健康ブームに乗り、関西のマスコミの注目を集めた。現在はストレスフリーの環境で作られた卵を通販(一般向け)で、また業務用で販売している。卵の販売の他にもミネラルの開発にも着手。また、異業種でもある自転車サスペンションの開発や救助用・農場用の円盤飛行機の開発にも携わるマルチ人間である。

野淵 幸作さん写真

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