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勝手にトレンドウォッチャー 次は絶対、コレが来る!専門家が次のトレンドを大予想!?

飲食店プロデューサー、フードコーディネーター、マスコミ業界人など、食に関わる専門家が「次なるトレンド」というテーマで私論を展開します。当たるも八卦、当たらぬも八卦。さて、今月の専門家は何を予想しますやら…。

10月のゲスト 北野登己郎 株式会社冨士屋製菓本舗 専務取締役 私が気になるもの 黒糖と豆のマッチング

10月のトレンドウォッチャーは富士屋製菓本舗の北野登己郎さんです。自身の家業でもあり、豆菓子復権に尽力を注ぐお菓子屋さん。やはり注目の品は何をさておき豆菓子。しかも黒糖味が注目だとか。その理由を語ってもらいましょう。

伝統の菓子が見直される理由

 大正時代に大阪や名古屋、広島などで作られていたのが豆菓子のはじまりと言われています。そもそも豆菓子とは落花生や大豆などの豆類に粉末にしたもち米などを、砂糖水でひっつけて焼き上げたものを言うんです。その中でも皆さんがよく目にするものは「雀の玉子」じゃないでしょうか。落花生をもち米でくるみ、醤油味に仕上げた茶色い小さなコロコロとした豆菓子です。ちなみにこの「雀の玉子」という名称は関西から西の地域での呼び名なのを知っていましたか?関東では「おのろけ豆」と呼ぶらしいですよ。名前の由来は定かではありませんが、我々の業界人が通称で呼んでいたのが、いつの間にか商品名として呼ばれるようになったんじゃないでしょうか。
 昔はお菓子というと豆菓子なんかが中心だったんですけど、今ではスナック菓子やチョコレートなど多種多様なお菓子を手に入れることができます。そうすると、豆菓子の需要が昔に比べると落ちてきているのが現状なんですよ。実際に、豆菓子を好んで食べるのは中年層が主です。この味をもっと若い世代にも知ってもらいたいというのが今の願いなんです。でも、このところ、現在の健康志向の高まりやヘルシー志向によって、豆が見直されてきているんですよ。豆に含まれる良質な脂質やビタミン類は、現代人に不足しがちな栄養素で、それらを気軽に摂取できる豆はトレンドの兆しかな?なんて思ったりします。
 豆が体にいいのはTVや雑誌でもよく取り上げられていて皆さんもご存知の通りですからね。
 豆の良さを生かす食材は何かなと思い、最近注目しているのが黒糖なんです。太陽の恵みをいっぱいに浴びた沖縄特産の黒糖はミネラル分を多く含み、栄養価も高いことで有名です。その黒糖特有のコクと濃厚な風味を豆と組み合わせたら面白いんじゃないかと思ったんです。それで、沖縄の黒糖の中でも特に質がいいと言われている波照間産のものを使用してみました。波照間産のものは島独自の収穫法で刈り取られたもので、特有の香りとコクが抜群なんですよ。勿論、成分は上白糖と異なるので、黒糖を煮詰める時間や焚き方などは何度も試作を重ねましたがね。

豆菓子写真

注目の“黒糖”と豆のマッチング

 豆と一口に言っても落花生やアーモンド、大豆やカシューナッツなど色々あります。これらと黒糖、そしてさらにもうひとつの味をプラスしてバリエーションをつけてみたら面白いかなと思い、工夫をこらしてみたんです。
 豆自身にもそれぞれの特徴があるので、それをいかしながら黒糖のコクを損なわずに、味の一体感を出すのがちょっと難しいかもしれません。

黒糖写真

 黒糖のパートナーとしてなかなか相性が良かったのは味噌やショウガ、黒ゴマです。これらの食材もちょっとクセがあるように感じますが、黒糖と合わせるとお互いの特徴を引き立たせて、香りが豊かになるんですよ。豆の香ばしさともうまくバランスがとれてているようですしね。そして、現在気になるのが、酸味のある食材とのマッチング。甘酸っぱい豆菓子があまりないので、黒糖でそれを表現できないかなと思ってるんですが・・・。梅肉や黒酢、ブルーベリーなどの果実類といろいろ試すと面白いかもしれませんね。色んな食材と黒糖を合わせてみて感じたことは、黒糖って意外とどんな食材にも合うんだということですね。一見クセがあるように思いますが、そのクセが他の食材の特徴をいかしてくれる万能パートナーなんだと感じました。

豆のある生活を

 こういう組み合わせって他のお菓子を食べてたり、食事をしている時に「この食材を豆と組み合わせると面白いんじゃないかな」って思いついたりするんです。黒糖以外にも注目している食材はいくつかあるんです。例えば抹茶やココア、紅茶の葉やハーブ類などなど。そんな発想で思いついたひとつに備長炭があります。炭って食べられるの?という自分の中で出てきた疑問をカタチにしてみたんです。実際食べてみると、炭のクセや苦味なんかはないのでとても食べやすいんですよ。
 ところで、昔懐かしい豆菓子がなぜトレンドに?と思う人がいるかもしれません。それは、豆菓子が次世代の子供たちに広がっていくんじゃないかと思っているからなんです。小さい子供を持つ父親や母親世代の人は、特に子供に食べさせる食事には気を遣います。お菓子を食べさせる時もしかりです。スナック類などもいいのですが、栄養的にもバランスのとれた豆菓子は程よい硬さもあり、しっかりと噛む訓練にもなるので子供のおやつとてしては最適だと思うんですよ。伝統のお菓子を次世代に繋げていくということもトレンドのひとつになり得るんじゃないかと。
 さらに、注目している黒糖は栄養価も高い食品ですし、特有の甘みは子供から大人までが好きな味だと思うんです。なので、黒糖と豆のタッグでトレンドが来るんじゃないかと考えています。
 ちなみに豆菓子の賞味期間は約4ヶ月です。豆は油脂を含んでいるのであまり長い間保存しておくと、豆が酸化してきます。料理は作りたてが美味しいように豆菓子も同じです。豆菓子は長期間保存できるようなイメージがあるかもしれませんが、出来れば1ヶ月くらいで食べてもらえればと、作り手は思っているんですよ。

炭の豆写真

プロフィール

北野登己郎(きたの とみお)

大正2年(1913年)創業の老舗豆菓子店「冨士屋製菓本舗」の3代目。関西大学卒業後、アメリカにて物流などの研修を約2年積み、帰国。その後、冨士屋製菓本舗で営業、製造をこなし、現在は新商品の企画・開発に携わっている。幼い頃から家業を継ぐことを決意していたというだけあり、日夜、豆と相性の良い食材を探し続けているという熱意の持ち主。

北野登己郎さん写真

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