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勝手にトレンドウォッチャー 次は絶対、コレが来る!専門家が次のトレンドを大予想!?

飲食店プロデューサー、フードコーディネーター、マスコミ業界人など、食に関わる専門家が「次なるトレンド」というテーマで私論を展開します。当たるも八卦、当たらぬも八卦。さて、今月の専門家は何を予想しますやら…。

1月のゲスト 山口泰子 食空間プロデューサー 私が気になるもの 家庭の中のテーブルコーディネート

1月のゲストは、食空間プロデューサーの山口泰子さん。テーブルコーディネートの教室だけではなく、料理や洋菓子の教室も主宰しているという山口さんですが、彼女が薦めるのは、日常生活でのテーブルコーディネートの大切さ。一般人にはおしゃれにテーブルを飾るというイメージのある「テーブルコーディネート」と、日常生活は対極にあるように思えるのですが…。そんな素朴な疑問に答えてもらいつつ、なぜ今、「家庭の中のテーブルコーディネート」なのかを語ってもらいました。

「テーブルコーディネート」って?

 「テーブルコーディネート」というと、きちんとクロスの掛かったテーブルや、銀のロウソク立て、ワイングラスに大きな洋皿、皿の両側に整列したナイフやフォークなどのカトラリーといったものを思い浮かべますよね。私が「『テーブルコーディネート』ってどんなものだと思いますか?」と尋ねてみると、ほとんどの人がそのように言い、1セット数十万円もするような食器でテーブルを整えることだと答えるんですよ。
 確かに、国と国との外交の場での晩餐会ではテーブルは、きちんとしたルールに則った「テーブルコーディネート」を用います。でも、考えてみると、洋食だけでなく、和食の懐石での折敷の上の設えも「テーブルコーディネート」って言えませんか。
 今回、私が皆さんにオススメするのが、「家庭の中のテーブルコーディネート」。日本では昔から、箸置きに季節の花の小枝を使ったり、端午の節句の季節には、菖蒲の花に見立てたものを料理に添えたり、はたまたお正月には朱塗りのお椀にお雑煮を入れたりといった、季節の食卓の設えを大切にしてきました。これも全て「テーブルコーディネート」なんですよ。どうも、「テーブルコーディネート」の本当の意味である「食卓の設え」という内容よりも、「テーブルコーディネート」という言葉のおしゃれな部分だけが市民権を得て、一人歩きを始めてしまったような気がしますね。
 私が「テーブルコーディネート」のお話をする時には「その論理は、食卓を囲む人たちが、気持ちよく、楽しくコミュニケーションをしながら食事をできるようにその時、その場に相応しい話題性の演出をした食卓のことです」と伝えています。ですから、私の「テーブルコーディネート」では、豪華なカトラリーや皿を並べたりするものだけではありません。普段使いのテーブルクロスやランチョンマットなどを敷き、花を飾る。決して豪華なフラワーアレンジメントでなくていいんです。庭に咲いた一輪の花でもいいし、目にやさしい一枝の緑でもいいんです。そういったものを飾り、会話のきっかけになるような、もので十分だと思うんですよね。
 今、サブプライム問題や、原油高などで物価が上がって、今までなら気軽に外食していたような場面でも、家で食事を摂ろうかというシーンが増えているのではないでしょうか。そういった普段の食卓にこそ、意識して調えると、いつもとは違った楽しい食卓が演出ができると思いますよ。 

テーブルコーディネートの写真

私がテーブルコーディネートを始めたわけ

 私は、元々は料理や洋菓子の教室をやっていました。当時、子供がまだ小学生で、学校から帰ると自分で鍵を開けて家に入ってもらうようなこともしばしば。子供がお腹をすかせて家に帰ってきた時のためにと、テーブルにナフキンを敷いて、おにぎりを載せた皿にラップをし、「お帰りなさい」と一言書いた手紙を添えていたんです。特別にテーブルコーディネートとかは考えていたわけではないのですが、おにぎりに季節感を出した具を入れたり、それに合わせて下に敷くものを変えたりして変化を持たせていたんですよ。
 そのうちに、どうやら子供の友達の間でそれが有名な話になったようで、うちの子が「友達から、おまえのお母さんってすごいなって言われた」と報告してくれました。おまけにお友達のお母さんから「すごく素敵ですね」とまで言われました。でも、私自身は、おにぎりを置いておくだけという行為は、元気が出ないばかりか、優しい気持ちになれないと思ったから行っただけだったのですが、思わぬ評判に、少しビックリしたというのが本音です。

テーブルコーディネートの写真

 しばらくして、私の主宰する洋菓子の教室で、1年に1度、展示会をすることになりました。初めての年は、真っ白なクロスを敷き、生徒さんの作品を並べました。ただ、白いクロスだと面白くないんですよね。どのスイーツも平板に見えてしまうんです。それに、なんだかひんやりとした感じも。
 2年目は薄いローズピンクのクロスにしてみました。会場全体は、ピンクのおかげで前の年のような冷たさはなくなりました。でも、ピンクのクロスに合わないスイーツもあったんです。そこで3年目はコーナー構成にすることに。元気さを醸し出す作品のコーナーは、イエローでまとめて、かわいらしいものはピンクに、シックなものは淡いグリーンとか、それぞれをテーマごとに彩ってみたわけです。その上、高さのある作品を後ろに配し、低めのものを手前にと、展示に高低を出すと、作品がとても引き立ち、生き生きとして見えました。 ある日、私はふとこれって子供に用意したおにぎりの設えに似たところがあるなと気づいたんです。だから「これは食卓に応用できる!」と考えついたわけです。
 そして1988年に、初めて「テーブルコーディネート」の教室を始めました。始めた頃は、「テーブルコーディネート」という言葉はまったく知られていなかったので、「どんなデザインのテーブルを作る仕事ですか?」と聞かれたこともありました。その後、バブルの時代に「テーブルコーディネート」も脚光を浴び、あちらこちらに教室もできましたが、バブル経済の功の部分で認知度は上がったなと思います。でもまだまだ、みんなの生活に溶け込んでいるという感じではないですね。私としては、みんなが「テーブルコーディネート」に対して持っているハードルを低くしてくれれば、もっともっと広がっていくと思いますよ。

家庭で簡単にできる「テーブルコーディネート」

 せっかくなので、お家で簡単に実践できる「テーブルコーディネート」のアイデアをいくつかご紹介したいと思います。
 まず、テーブルを調える前に、それがどんな場なのかといった、テーマを決めます。例えば、家族の誕生日や何かのお祝い事、そんなことではなくても、今日は「美味しそうな白菜があったの」といった単純なことでもいいでしょう。それぞれのテーマに合わせてストーリーを考えておくと、スムーズにコーディネートが進みます。子供がテストでいい点数を取ってきたのでよかったねという食卓を表現したいとなると、やはりメニューは子供の好きなものを並べてあげるべきですね。それに、ご褒美のちょっとしたプレゼントをテーブルの邪魔にならない場所に、小物と一緒に飾っておいてもいいでしょう。テーブルクロスは元気の出るオレンジ。こうして考えていくと、ドンドン膨らんでくるでしょう。
 肝心のテーブルクロスですが、クロスとして出来上がっているものはそれなりの値段がしますよね。なので、カーテン生地などのインテリアファブリックを買ってきて、テーブルクロスにするのがオススメ。カーテン用の生地などは、一般の90cm幅の生地に比べて、110cm〜150cmぐらいと広めの幅ですから、大きいテーブルでも大丈夫です。
 次に、テーマに合わせた飾りを考えて見ましょう。大人の集う、シックな空間にしたいのなら、キャンドルもおしゃれなものを選んで。その時に、ロウソク立てがなくても、長めのグラスに塩を入れて、そこにキャンドルを刺したり、また逆さまにしたグラスの足に、キャンドルを置いてもいいんです。最近は、電気で、キャンドルの炎の揺らぎまで再現しているランプもありますから、その時の状況に合わせて選んでもいいでしょう。そして、テーブルに絵を描くつもりで花や小物を邪魔にならない程度に飾っていきます。
 最後に、「テーブルコーディネート」の仕上げは、その食卓で交わされる会話だと私は考えます。すべての設え、テーブルに飾った小物なども、楽しい雰囲気を盛り上げ、会話のきっかけになればいいと思っています。このキャンドルはどういったものであるとか、飾ってある小物はどこそこに行った時に買ってきたとか。箸置きに添えてあるお花はこんな意味があって、料理はこうして作ったとか、話すことは山のようにあるんですよ。子供たちとの会話は、知識を増やすことにもなりますし、強いてはマナーなどを教える食育の場としても役立つはずです。
 会話のある食卓では、コミュニケーションが取れているので、優しい気持ちになれると思うんです。優しい気持ちになれば、他人に対しても思いやりを持って接することができます。ましてや、楽しい食卓を囲めれば、自分も家族も、常にプラス思考でいられるんじゃないかと思うんですよ。
 その気になれば、テーブルはいくらでも簡単に楽しく演出できるのです。ですから、どうか私は家庭でのテーブルコーディネートが流行って、愉しい食卓が過ごせれば、小さな幸せが実っていくと思いますよ。

テーブルコーディネートの写真

プロフィール

山口 泰子(やまぐち やすこ)

広島市に生まれ、現在、高石市に在住。料理、洋菓子、国際マナー、テーブルコーディネートなどの各種国家資格も持ち、テーブルコーディネートの教室「アール・アカデミー関西」を主宰。大学や短大、専門学校などでも教鞭を取る。食教育を通して生活改善・向上、「愉しい食空間での家族のコミュニケーション」をめざした家庭教育の提案、講演活動などを中心に幅広く活躍。企業のメニュー提案やコンサルティングなども手がける。

山口泰子さんの写真

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