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勝手にトレンドウォッチャー 次は絶対、コレが来る!専門家が次のトレンドを大予想!?

飲食店プロデューサー、フードコーディネーター、マスコミ業界人など、食に関わる専門家が「次なるトレンド」というテーマで私論を展開します。当たるも八卦、当たらぬも八卦。さて、今月の専門家は何を予想しますやら…。

2月のゲスト 団田芳子 編集プロダクション「ペンライト」主宰 私が気になるもの ハンガリー料理

2月のゲストは、旅と食をメインに取材を重ね、各種雑誌や本を発表しているフリーライターの団田芳子さんです。食にも旅にもこだわりを持つ団田さんが、将来住んでみたい国のひとつとして挙げたのがハンガリー。日本人に決して人気が高いとはいえないこの国を選んだのは、ひとえに「ハンガリー料理」が美味しいからだとか。「ハンガリー料理」の何がそんなに団田さんを捕らえて離さないのでしょうか?

未だ知られていない美味は、ハンガリーにあり!

 「ハンガリー料理」って皆さん食べたことがありますか?食べるどころか、「ハンガリー料理」すら、見たことすらない人の方が、多いんじゃないでしょうか。それも、もっともで、日本全体で見ても、「ハンガリー料理」店と謳っているレストランは、東京に3〜4軒あるだけなんです。
 では、「ハンガリー料理」がどんな料理かというと、一言で言えば、美味しい!いやいや、これだけではナンなので、もう少し詳しく説明しましょう。
 日本の食文化は、世界に例を見ない調和と融合の賜物だと、よく言われます。古くは中国など大陸からの食文化を取り入れ、明治時代になってからは、西洋料理も取り入れました。例えばカツレツからとんかつを生み出したり、オムレツからオムライスを生み出したりと、様々な食文化を取り入れ、消化し、発展させてきました。ハンガリーの食文化にも、同じことが言えるんじゃないでしょうか。ハンガリーって、いろんな国の侵略を受けてきているんですよ。古くはローマ帝国、モンゴル帝国、そしてオスマントルコなどなど…。それらの歴史は、ハンガリーの食文化にも大きな影響を残したようです。
 「ハンガリー料理」の基本は、パプリカとラードをたっぷりと使い、しっかりとした味とコクを持った料理と言えますね。「ハンガリー料理」といえばまず始めに出てくるのは「グヤーシュ」。これは、牛をラードで炒め、たっぷりのパプリカを入れてスープで煮込んだ料理。見た目はパプリカが入っているため真っ赤なで、辛そうですが、辛味はほとんどありません。「グヤーシュ」というのは、ハンガリーの人たちにとっては、味噌汁みたいなもんなんだなというのが、ハンガリーで数々の「グヤーシュ」を食べた私の感想です。本当に、店ごとに、家庭ごとに味が違っていて、家庭の数だけ「グヤーシュ」があると思いました。
 ハンガリーは、料理にとても沢山のパプリカを使います。日本でもカラフルなパプリカをスーパーで普通に目にするようになりました。基本は赤、黄色オレンジぐらいかな。ところがハンガリーではパプリカは100種類以上もあるそうで、それぞれに微妙に味が違い、地域によって、料理によって使うものが違うんだとか。実は歩いてみると、ハンガリーのレストランのメニューに載っている半分以上に、パプリカが使われていました。
 ハンガリー料理は本当にコクを大事にします。ラードでコクを出し、パプリカで違う種類のコクを加え、仕上げにサワークリームでコクを補うっていう感じです。ハンガリーで出会った人が「明日が信じられないから、今日が美味しければいい」と言っていたんですが、本当に美味しいものを食べることが大好き。そして料理をすることも大好きなので、料理にも色々と手を加えます。材料を巻いたり、重ねたり、中に何か詰めたりと、単に煮込むだけじゃないんです。心から、食べることが好きなんでしょうね。そんなハンガリーの人たちも、最近はラードからオリーブオイルなどに移ってきているそうです。健康を気にするのは、どこもみな同じようですね。

ハンガリー料理の写真

私とハンガリーとの出合い

 私は、もともとは大学時代に地域の情報紙でアルバイトを始め、そこに就職してライターへの道を歩み始めました。会社に勤めていた頃は、物を書くことだけではなく、企画、取材、写真撮影、編集、デザインなど、一通り何でもこなしたのです。当時は充実していたのですが、そのうちに段々と、書く方の仕事に一本化したいなと思い始めて独立。その後徐々に、自分の興味と一致する、食と旅のライターとしての守備範囲が固まってきたと言う感じです。だから、食べることも好きだけど、旅することも好き。

パプリカの写真

 そんな私とハンガリーの出合いは10年ぐらい前になります。私が雑誌の取材を兼ねて中央ヨーロッパに旅行した時のこと。ワインの産地として有名なハンガリーへと赴き、旅行記を書くという仕事を、嬉々としてこなしていました。当然食べるものは地元のものです。私は旅行に行くと、地元の人たちと知り合い、なぜか家にまで招待されてしまったりすることが多かったんです。そして、ハンガリーでもいつものように、何軒かの家に招待されました。それぞれの家でご馳走になったものが、本当に美味しかった。そして、人々も優しく、温かかったんです。他の国にも色々と回りましたが、私の経験からすると、食べ物が美味しく、お酒が美味しく、しかも人々が温かい国って、実はそんなになかったんですよ。だから「この国なら住める!」と心から思いましたね。
 他にも、ハンガリーの人たちって、商売っ気がないと言うか、のんびりしていると言うか、国中が緩い感じで、すごく居心地もよかったですね。旅行に行ってまで、キリキリしていると嫌じゃないですか。そのあたりが、ハンガリーは“抜け加減”がいいんですよね。それに、国内には100以上もの温泉があります。その中には、トルコ時代のドーム型の建物の中で未だに営業しているものがあったりします。そして、近所の人たちがそれこそ100円ぐらいで気軽に利用している。トルコ時代の建物なんて、歴史遺産ですよ!その中で、のほほんと湯に浸かれるというのも何ともいえない贅沢です。

どんな料理にでも「コク」が重要

 ハンガリーは、実は世界中のフォアグラの85%近くを生産しているんですよ。だから当然フォアグラが美味しい!そして、キャビアが驚くほど安い。勿論、最高級品ではなかったのですが、スプーンでザックザックとすくって食べるという感じ。これらが美味しいので、当然それに合うワインも、美味しいものが目白押しです。
 「グヤーシュ」のほかにも、「パプリカチキン(パプリカで鶏肉を煮込んだもの)」、「パプリカキャットフィッシュ(同じく、パプリカでなまずを煮込んだもの)」、「マッシュルームのひき肉詰め」など、美味しいものは一杯ありました。それと、忘れちゃいけないのが「メジーレベシュ」という冷たいフルーツスープ。私が好きなのはサクランボのものですが、季節によって、桃やメロンなど様々。フランス料理にも似たものがありますが、それよりも数段コクがあります。やはり、”コク”が大事なんですよね。
 こんなに美味しいハンガリー事情が、日本にはまだまだ伝わっていないのがとっても残念です。ハンガリーの人々の商売っ気のなさが、こんなところにも表れている気がします。日本は、美味しいものを受け入れる土壌は十分にあるのだから、後はフランス料理やイタリア料理が日本に普及したように、現地で学んだシェフがどんどんと出てくることかな。ただ、本物じゃないとだめですよ。形だけとか、似せただけのものでは、本当の美味しさが伝わらないから。できれば本物の料理を出す店が、1軒でも増えて欲しいです。そうすれば、みんなにハンガリー料理の美味しさを知ってもらえると思います。

ハンガリー料理の写真

プロフィール

団田 芳子(だんだ よしこ)

フリーライター。編集プロダクション「ぺんらいと」を主宰し、グルメ雑誌ほかで、食や旅をテーマに連載も持つ。06年秋には、大阪からの手土産に最適な、本当にいいもの、美味しいものを自らで精選した「大阪名物」を井上理津子氏と一緒に書き上げた。

団田芳子さんの写真

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