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勝手にトレンドウォッチャー 次は絶対、コレが来る!専門家が次のトレンドを大予想!?

飲食店プロデューサー、フードコーディネーター、マスコミ業界人など、食に関わる専門家が「次なるトレンド」というテーマで私論を展開します。当たるも八卦、当たらぬも八卦。さて、今月の専門家は何を予想しますやら…。

4月のゲスト 上野清之 JA大阪中央会 私が気になるもの 食農教育

4月のゲストはJA(農協)職員の上野清之さんです。「なにわ特産品」をはじめ、大阪の農業をPRするベジタブル作戦を仕掛けている自称「農の仕掛け人」で、大阪産野菜入りたこ焼き「ベジたこ」など次々とアイデア溢れるメニューを発表しています。食に関する問題が絶えない今、生産者の顔の見える直売所が「安心で安い」と人気だとか。そこで上野さんがトレンドに挙げたいのが「食農教育」。少し堅い話に聞こえますが、その真意を語ってもらいましょう。

意外と知られていない地元の農業

 「スローフード」「ロハス」「地産地消」など食を取り巻く環境に対する人々の意識が高まってきています。でも、残念なことに、言葉ばかりが先行して、実際には自分の住んでいる地域の農業のことは意外と知らない人が多いんですよね。例えば、大阪はシュンギクの生産量が全国第2位、デラウェアが3位、フキは3位、コマツナは5位です。浅漬けで有名になった水ナスを除けば、府民にすらあまり知られていないのが悲しい現状。もっちりと美味しい河内レンコン、根の部分から葉柄まですべて食べられる若ゴボウなど個性豊かな農産物が沢山あり、熱心な農家も数多くいるんです。
 何とかして地元の農業に関心を持ってもらいと始めたのが「ベジたこ」。タコの代わりに水ナスを入れ、オリーブ油とガーリック、天然塩を使ってイタリアンテイストに仕上げたたこ焼きで、発表したところ注目を集めました。新しさがあったのか、新聞やテレビで紹介され、食博覧会などへも出店しました。でも、「ベジたこ」はあくまでも“きっかけ作り”です。それを通じて、大阪の農業のことや日本の食料自給率が39%ととても低いことなどを伝えていきたいのです。農業・農地には、実は色んな役割・多面的機能があります。大阪だけでもその価値は、食料の供給(366億円)、水資源を守る(60億円)、土砂崩れや洪水を防ぐ(238億円)、安らぎ(233億円)など合計で1,000億円といわれているほどなんです。
 昔から人が歩いて行動可能な四里四方で採れるものを食べると、環境にも身体にも一番良いと言われてきました。地域で採れたものをその地域の人が食べることによって地域の農業も環境も守られ、輸送燃料も節約できるのです。これが「地産地消」の考え方なんです。
 食とは本来、楽しいものです。今では、「ベジたこ」は水ナスの他、レンコン、タケノコ、ミニトマトやブロッコリー、ダイコン、エリンギ、椎茸など旬の野菜を入れ、消費者へのPRに一役買っています。さらに、お好み焼き風「ベジふぉーっ」や「ベジくれーぷ」、また洋菓子店と連携した「ベジすいーつ」も発表し、農産物を身近に感じてもらう取り組みをしています。

ベジたこと大阪産野菜入りムース(非売品)の写真

農を体感することで食農教育を―

 平成17年、「食育基本法」が制定され、「食事バランスガイド」が示されました。時代の変化とともに、コンビニや外食店が増え、家庭内にはインスタント食品や加工食品が氾濫し、便利さと引き換えに、失いつつあるものが食文化や心身の健康です。さらに、輸入農産物の残留農薬問題、BSE、食品偽装表示はじめ、冷凍ギョーザによる食中毒事件など、食に関する事件が連続発生し、安全・安心と地産地消への関心が非常に高まっています。

農家訪問の写真

 我々は食育の間に「農を教える」を入れて、「食農教育」と呼んでいます。食の大切さは勿論、農産物がどこで、誰が、どのようにして作っているのかを、歴史と食文化も合わせて伝えることが使命だと思っています。
 その取り組みとして、旬の農産物を使った料理提案や農家訪問、農業体験、産地めぐりバスツアーなど食と農、環境を次世代へつなぐためのベジタブル作戦を行っているのです。また、生産農家の顔の見える農産物直売所も人気です。子供だけでなく、大人も農業の現状に目を向け、農業を体験して欲しいですね。自分で育てた採れたての農産物を食べると、地域の農業・食文化が衰退していくなんてもったいないという気持ちにきっとなると思いますよ。一人でも多くの方に農業のファンになって欲しいのです。
 イベントに参加した子育て世代の女性からは「新鮮な地野菜は安心できると思った」「身近に美味しい野菜がこんなにあるのかと驚きました」「子どもたちと一緒に生産者に直接会えてよかった。大阪で野菜を育てることの大切さを来られなかった幼い子たちにも伝えて行きたい」など農へのエールを沢山もらいました。

もっと身近に農を感じてほしい

 世界規模では、サブプライムレートに端を発し、原油が高騰、環境問題をからめてバイオ燃料の開発競争も加わり、食料が投資対象となり、世界食料争奪戦が起こるのではないかと囁かれています。だから私は、もっと身近な地元の農に目を向けて欲しいと提唱しているのです。
 大阪のJAでは、地域の小学生に米作りを教えています。田植えから稲刈りまで、子供たちがどろんこになりはしゃぎ回り、おにぎりをほおばる笑顔がたまりません。農地が用意できない小学校にはバケツで米作りができる「バケツ稲作り」セットを提供してきました。さらに、学校給食に地元の農産物を使う取り組みの輪も広がってきています。農業を体験し、農家の話を聞き、一緒に給食を食べると好き嫌いもなくなり、食べ残しも減るそうです。
 「食農教育」は美味しくて、楽しくて、健康にも良いものです。農業の役割や大切さを、食文化とともに次世代へ伝えていかなければなりません。そのためには、まず「食農教育」を家庭から、地域からといった小さな単位で行うこと。それがトレンドとして広がれば、日本の「食」はもっともっと充実したものになると思うのですが…。

農家訪問の写真

プロフィール

上野 清之 (うえの きよゆき)

JA大阪中央会 食と農・環境対策部長。自らコラボな農の仕掛け人と言うだけあって、いろんな情報・人・組織をピースとしてうまく組み合わせて、食農教育という虹色のジグソーパズルを完成させるのが夢だとか。農のファン・理解者を一人でも増やしたいと、農地を歩く「あぜ道テーリング」や、ひな祭りの米料理提案「こめとんひなにぎり」、クリスマスの米料理提案「へるしーデコレ」の他、「大阪あぐり探検隊」など数多くの農業啓発イベントを手掛け、農の果している多面的機能を伝えている。

上野清之さんの写真

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