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勝手にトレンドウォッチャー 次は絶対、コレが来る!専門家が次のトレンドを大予想!?

飲食店プロデューサー、フードコーディネーター、マスコミ業界人など、食に関わる専門家が「次なるトレンド」というテーマで私論を展開します。当たるも八卦、当たらぬも八卦。さて、今月の専門家は何を予想しますやら…。

5月のゲスト 熊谷真菜 日本コナモン協会 会長 私が気になるもの ブレンド粉

5月のゲストは日本コナモン協会会長の熊谷真菜さんです。「たこやき」研究にはじまり、「粉で作ったもの」=「粉もん」の歴史、食文化研究一筋に約20年間、フィールドワークとして活動している彼女。みんなで楽しんで食べる庶民の味「粉もん」は、食文化の原点だと熊谷さんは言います。そんな「粉もん」に危機が到来?!小麦高騰の今、改めて「粉もん」の魅力として注目したいのが小麦粉や雑穀の粉を混ぜた「ブレンド粉」だとか。現在、危機的状況にあるある「粉食」の今後の行方も合わせて語ってもらいましょう。

毎日の食に欠かせない「粉」に危機到来?!

 「粉もん」というと、たこ焼き、お好み焼きが頭に浮かぶ人も多いかと思いますが、うどんやそば、ラーメンなどの麺類は勿論のこと、パンや餃子の皮や、ケーキやクッキーなどのお菓子だって、みんなそれに分類されるんです。私は、「粉もん」とは「穀類などを粉にしたもので作った食べ物」の総称と位置づけています。小麦や米は勿論、豆や芋類などの粉で作ったものはすべて「粉もん=粉物」と幅広く捉えているんです。そう考えると、一日のうちに、何らかの粉でできたものを必ず食べているのではないでしょうか。
 昨年9月に「粉もん」の本としては業界で初となる『「粉もん」庶民の食文化』を発刊しました同書はたこ焼き、お好み焼きはもとより、麺類、おやきなど粉もん全般の歴史、文化を紹介しています。日本全国津々浦々、土地ごとに粉を使った食べ物があります。共通していえるのは、どこでも庶民の味で、子供から大人まで、みんなが好む、その地域に根づいているものばかりなんです。
 そんな「粉もん」に今、危機が迫っています。皆さんもご存じのように、昨年から少しずつ小麦粉の価格が上昇しているからです。オーストラリアの干ばつ、バイオ燃料の需要が理由ですが、これは日本だけでなく地球規模での深刻な問題です。4月からは食品メーカー各社が値上げを余儀なくされています。
 小麦の粉だけを使った真っ白な小麦粉は、このまま値上がりを続けて、もしかしたら、高級食材になってしまう日が来るかも?!「粉もん」と言えば、安くておいしい身近な食べ物のイメージですが、これからは、「粉」の大切さを見直すことになるのではないでしょうか。

「粉もん」の本の写真

栄養満点! おいしさ満点!「ブレンド粉」が救世主?!

 人間の生命に関わるベーシックな部分にある「粉」。小麦が高騰してきている今、私が注目されているのは「ブレンド粉」。小麦粉100%ではなく、きな粉と混ぜたり、ミネラルたっぷりのふすまや、その他の雑穀の粉と混ぜたりする粉のことです。日本人の主食である米も、今は十穀米や五穀米など雑穀を混ぜ合わせたものが人気です。戦時中、米がなかった時に色々な穀物を混ぜて食べた時代もありましたが、実はこの雑穀のパワーが見直されています。栄養的にバランスが良い食べ物なのです。

粉もん王座決定戦の写真

 勿論、戦時下では食が貧しかった故に仕方なくそうしたわけですが、今は、美味しさと健康という観点からも、雑穀の持つパワーに注目しています。しかし、どんなに健康に良くても、おいしくなくてはダメですよね。栄養価と同時においしさ=食感や風味を考えてブレンドすることが大切です。ブレンド粉のプロとして、「コナリエ」みたいに粉のソムリエが登場する日も近いのかもしれません。
 特に日本では米粉が注目されています。小麦アレルギーの人も安心して食べられるというメリットもありますが、カロリーベースで40%を切ってしまった日本の食糧自給率の問題からしても、米を活用するのは日本の生命線でもあるからです。地パンといった米粉のパンや、米粉のシフォンケーキはじめ、お菓子に使うなど用途は様々。すでに学校給食に導入を始めている地域もあります。
 穀類の粉だけでなく、野菜なども粉にしてまぜて、味わいや色あいなど、バリエーションも広がり、面白い可能性があると思います。ピンチはチャンスになる!新しい美味しさを生み出す機会がやってきているのかもしれません。

今こそ、「粉もん」の魅力を再認識。粉から始まる身近な食育

 03年に日本コナモン協会を発足し、全国の粉もんの食文化の再発見と交流を通じて、「粉もん」の魅力を多くの人に伝える活動をしています。
 昨秋、第1回「大阪コナモン博覧会」では、大阪の街全体を博覧会場に見立て、オススメの130店の粉もん店を紹介したガイドブックを作成しました。粉もんを入り口に、大阪の食の魅力、奥深さを知ってもらおう・・という試みで、期間中に掲載店舗に行くと、楽しい特典がつく仕組みです。今年も秋に予定していますが、東京ではラーメン博覧会、北陸、長野でもコナモン博覧会を同時開催します。粉もんの輪が少しずつ広がっているのは嬉しいことですね。
 「高校生創作コナモングランプリ」では、若い人たちに地元の食材や食文化を活かした創作レシピを募集したところ、500通あまりの作品が寄せられました。優勝したのは長野県須坂市の女子高生3人組が考えた「蕎麦粉とリンゴを使ったデザート」。こねた蕎麦粉をのばして、リンゴと小豆餡を包んでボール状にしたものを油で揚げ、みたらし風ソースで飾ります。女の子らしく見た目にもキュートなデザートでした。食の世界では著名な審査員の先生方も、その発想や姿勢に感動していました。
 最近、食育という言葉がよく聞かれます。「魚を捌いてみよう!」「親子でフレンチに挑戦!」などのイベントを見かけますが、もっと身近なことから始めるのが食育の第一歩だと私は思っています。冷蔵庫やキッチンの引き出しをあければ、いつでもあるような材料で、日常的に「食」に親しんでほしいですね。そういった意味では最も原始的で、身近な食べ物が「粉もん」なのです。
 「粉もん」には、家族や友達とワイワイとみんなで作る楽しさもあります。わざわざではなく「ちょっとつくってみよか〜」のノリで、うどんをこねたり、ホットプレートやたこやき器を囲む。つまり「粉もん」はコミュニケーションフードなんです。誰にでもできて、失敗もほとんどない。会話がはずむ、心がはずむ、これこそが「粉もん」の醍醐味です。
 5月7日は「コナモンの日」。今月は家族やお友達と、いろんな粉で、美味しい楽しい「粉もん」に挑戦してみてはいかがでしょうか?

高校生創作コナモングランプリの写真

プロフィール

熊谷 真菜 (くまがい まな)

大学の卒業論文でたこ焼きの調査を開始、10年間に及ぶ調査をまとめた『たこやき』(講談社文庫)を発表。食文化研究家としてテレビ、ラジオなど多方面で活躍する傍ら、足繁く粉もんめぐりを欠かさない。その研究は海外にも及び、アジア各国の粉もん調査、交流会も展開中。将来は中国で点心師の修業をしたいとその夢は尽きない。03年5月7日、日本コナモン協会を設立し、会長に就任。これまでの著作は文化論中心だったが、初のレシピ集『たこ焼き いろいろレシピ』(雄鶏社)を5月刊行。

熊谷真菜さんの写真

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