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勝手にトレンドウォッチャー 次は絶対、コレが来る!専門家が次のトレンドを大予想!?

飲食店プロデューサー、フードコーディネーター、マスコミ業界人など、食に関わる専門家が「次なるトレンド」というテーマで私論を展開します。当たるも八卦、当たらぬも八卦。さて、今月の専門家は何を予想しますやら…。

12月のゲスト 佐野嘉彦 マーケッター 私が気になるもの 小さな市場(しじょう)の復権

12月のゲストは、マーケティングの仕事に従事している株式会社ANALOGの佐野嘉彦さん。商業施設やホテルなどの出店マーケティングをしている中で、気になっているのは郊外大規模開発と中心部市街地の綱引きの中で起こっている現象。小さな店でもモノづくりや個性の出し方で、生き残れる可能性が十分にあると言います。今回はマーケッターらしく、「小さな市場(しじょう)の復権」をトレンド候補に挙げてくれました。さて、消費される街の中で、いい商品はいかに生き残っていくべきかをわかりやすく語ってもらいましょう。

モノづくりをする店こそが生き残れる

 近年の傾向としてどうしても郊外の大規模開発が元気なように見られがちです。それと比較し逆に元気がないのが、駅前のアーケード街。かつては立地の良さを売りものに、色んな店舗が軒を連ねていましたが、最近はシャッターの閉まった店が増加し、同時に活気も失われてしまいました。
 こうして見ていくと、これからは資本を持った大規模店しかやっていくことができないのでは・・・といった声も聞こえてきそうです。私が今回、トレンド候補に挙げるのは、その理論とは全く逆のこと。つまり、小さな店舗でも十分にやっていけそうな小さな市場(しじょう)の見直しです。
 シネコンなどが入っている、俗に言う「スーパースーパーマーケット」を見ると、どこに行ってもユニクロが入っていたり、無印良品が入っていたりと、金太郎飴のような状態。リーシングも大手にまず話がいくでしょうし、保証金も高かったりするので、個人商店から入店交渉するなんてありえません。なのでどこに行っても同じような構成になってしまうのです。飲食に関しても有名なショップは入っていますが、別にそこへ行かなければ求められないなんて逸品はないはずです。
 なぜ、そう思うのかと考えてみたら、やはりその場所でモノを作っていないからなんですよ。小さな町の小さな肉屋で揚げているコロッケは、その店独得の味わいがし、店主のモノづくりへのこだわりなんかが伝わってきます。それがレシピだけは本部で作って、あとはおまかせ的な商品には決してないものだと思うんです。こうして考えれば、小さな店が生き残るにはまず店で作ることが大切で、それを食せるスペースが付いていれば、なおいいんじゃないかと思うんですよ。

店舗の写真

職人にこだわった施設づくりを

 そのいい例が神戸の北野町にある「北野工房のまち」です。これは廃校になった小学校の跡地を神戸市が運用し、再生させたもの。校庭を観光バスの駐車場にしなかったのでしょうが、校舎にも地場産業の振興になればと地元の会社や店舗を入れています。

店舗の写真

 他地にも似たようなものがありますが、大きく違っているのは、モノを売るだけではなく、この中で実際に作っている点。モロゾフやゴンチャロフなどのお菓子を始め、和紙を作っている所もあれば、オーダーメイドの靴屋もあって、実に臨場感溢れる場所になっています。この手の施設は、えてしておみやげ物屋になりがちですが、「北野工房のまち」はそれとは一線を画した施設になっているんですよ。福島県でもこれを再生モデルとして取り上げ、論議しているそうで、今では各自治体から注目集める施設になっているそうです。この施設に入る条件としては、第一に職人がいるかどうか。やはり、この場にいる人にしか作れないものって興味引かれるんでしょうね。
 「北野工房のまち」以外でも長浜にある「黒壁」もおなじようなことが言えます。作るという視点で研修を行い、“作る”ことをアピールしていく。これが評価できる点で、これこそが大規模店舗に勝ち抜く知恵ではないかと思うのです。

小さな町に合った二毛作飲食店が注目

 私の事務所がある京町堀も小さな市場(市場)としては面白い町です。一時期から都心から離れた人たちが、再度街中に戻ってくる現象がありました。この京町堀もそう。以前は事務所用にあった建物を改良して、住居として活用しだしたり、街中のマンションができたりして、街自体が変わり始めました。すると、飲食店もオフィスのランチ需要だけではなく、色んなメニューや料理アイテムを生み出さなくてはなりません。昼には店舗前でお弁当を売って凌いでいた売上げも、住む人が増えてくれば土日だって十分に稼げるようになるわけです。
 繁華街は人も多いですが、その分、家賃も高く、小さな店ではやっていけません。それが京町堀に似た小さな市場(しじょう)ではその心配すらいらず、誰でも出店が可能になるのです。だから腕のいいシェフが繁華街ではない小さな町に店を持とうとするんですよ。ただ流れている人が少ないので、通勤者だけなら成立しない。これに対する手として例えば、ビジネスランチと家庭的な料理を出す店との併用といったように、二毛作型の飲食店が現れるのでしょうね。こうして考えていくと、あながち小さな市場(しじょう)も捨てたものじゃありません。
 報道はどうしても規模や集積の大きさで勝負する大規模開発を持て囃しがちですが、小規模店舗にはあえてこの消耗戦から離れることで勝負してほしいですね。郊外大規模開発と中心部市街地の綱引きの中に巻き込まれず、個性豊かな町にどっぷりと根づいてもらう。それには独自商品を培う職人性が必要となります。消費者は大量生産のモノを買いますが、どこにでもある感に辟易しているのも事実。それよりはおじいちゃんの代から和菓子を作り続けているといった店に魅力を感じるのだと思います。要は現在の消費者は通り一辺倒な決まり事より、個性を大事にしているのです。
 大阪のなんばにある「なんばこめじるし」という施設は、これまでの開発ではなく、個性のある個店を集めた飲食エリアになっています。だから施設の運営時間も定まっておらず、ある店は15時からの営業ですし、ある店は24時の閉店、またある店は23時にクローズと、とにかく揃っていないのです。つまり営業時間も定休日も各自が自由にやっているわけ。この場所はかつては「なんばシティ」の奥辺りだったのですが、「なんばこめじるし」になってからは個性が出るように運営されているのです。新たに開発したとはいえ、高架下に個店が集まっているようなもの。だから面白いんじゃないでしょうか。
 飲食店を出店するというと、駅前ビルやターミナル内をまず考えがちでしょうが、利便性だけでは生き残れない時代になっています。それよりは小さな市場(しじょう)へ目を向け、その町に合った飲食店をプロデュースしていく方がいいのかもしれません。非繁華街都心立地にもそれなりの良さが残されています。このような多重構造市場には二毛作経営をすることで勝ち残れる。そう考えて今回は「小さな市場(しじょう)の復権」をトレンドに挙げました。

飲食店のメニューの写真

プロフィール

佐野 嘉彦(さの よしひこ)

キャンディー、冷凍パンなどのデザイン評価から飲食店の出店調査、商業施設の飲食ゾーン計画と、幅広く活躍するマーケッター。官公庁や企業の仕事を30年間行う中で、現場から離れた理屈に封じ込まれ、同じような失敗を繰り返している現状を憂慮。より現場に近い場所からお客さんの役に立つようにと、「ANALOG」を立ち上げた。自称「街のシンクタンク」として、色んなマーケティングの仕事に着手している。

佐野 嘉彦さんの写真

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