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勝手にトレンドウォッチャー 次は絶対、コレが来る!専門家が次のトレンドを大予想!?

飲食店プロデューサー、フードコーディネーター、マスコミ業界人など、食に関わる専門家が「次なるトレンド」というテーマで私論を展開します。当たるも八卦、当たらぬも八卦。さて、今月の専門家は何を予想しますやら…。

10月のゲスト 高橋 太久美 切子作家・「たくみ切子工房」代表 私が気になるもの 切子の日常使い

今回のゲストは切子職人であり、作家の高橋太久美さんです。高価なために、生活の中に取り入れにくいと思われがちな切子ですが、高橋さんは普段の生活の中で切子を使ってほしいと言います。切子の魅力を知り尽くす高橋さんがトレンドとしてオススメするのは勿論、「日常使いの切子」。では、切子の持つ魅力を思う存分語ってもらいましょう。

切子ガラスの魅力

 切子と言えば、薩摩切子が有名ですね。1500年代に薩摩藩で作られたのが切子の始まりです。クリスタルガラスを多く使う切子はどっしりとした重厚感と、煌くカットのツヤと輝きが魅力です。また、色被せ(いろきせ)といって、厚い色ガラスはカットすることにより、浮かび上がるぼかしも醍醐味のひとつです。濃い色ガラスでありながらも、透明感があるのがガラスの魅力です。ただ、切子はクリスタルガラスなど厳選した材料に、手作業での制作を行うため、どうしても高価なものが多いのかもしれません。また、その継承者も少なく、素材となるクリスタルの色被せガラスを作っているメーカーも減少してきています。しかし、切子は日本の大切な芸術であり、文化です。多くの人に切子の素晴らしさを手で触れて、肌で触れて、体感してほしいですね。だからこそ、飾りものとしてではなく、日常の中で切子を使ってほしいのです。
 不思議なことに、同じウイスキーをオンザロックで楽しんでも、いいグラスで飲むと、その美味しさが倍増するんですよ。お酒を楽しむ時は、グラスを手に持っている時間が長いので、ほどほどの重みが、手に馴染むからでしょうか。切子の手触りや、重量感をゆっくり、じっくりと体感するのがいいですね。自分のお気に入りのグラスで、自分の好きなウイスキーを注ぎ、自分の時間をゆっくりと過ごすことが、私にとっての一番の贅沢ですね。
安いお酒でもなんだか、高級酒を飲んでいるような気分になるんですよ。みなさんも、忙しい毎日でしょうが、自分へのご褒美として素敵な時間を楽しんでみてはいかがでしょうか。
 意外かもしれませんが、ここ数年、30代から40代の男性に密かに切子ファンが多くなってきたようです。贈答用ではなく、自分へのご褒美として、毎年、買い集めている人も多く、毎日、その日の気分で切子グラスを使い分け、晩酌を楽しんでいるようです。

切子グラスの写真

日常の中で切子を楽しむ

 切子の器は料亭などで冷たい和食を提供するものといった既成概念が強いかもしれませんが、意外とどんな料理にも使えるんです。だから、もっと日常的に切子の器を食卓に取り入れて欲しいですね。作り手としては「こうしなければならない」と思わず、感性のままに様々な用途で自由に使って欲しいです。

切子グラスの写真

例えば、冷茶グラスはちょっと大き目の冷酒杯としてもいいでしょう。鉢で素麺を食べれば、見た目にもより涼しげに楽しめることでしょうし、お猪口は調味料などをちょっと入れる時にもオススメです。また、冷奴などは、同じ豆腐でも視覚的に変化することで、その味わいもいつもと違った味わいを楽しめるようになります。お茶を好む人なら知っているかもしれませんが、夏は茶道具にもガラス器が多く使われるんですよ。中身は温かいお茶なのですが、器をガラス器にするだけで、涼しげになることが、風流で趣があるというわけです。
 切子だけでなく、陶器でも同じなのですが、購入する時に、色々と迷うのも楽しみのひとつです。どんな料理を載せたいのかをイメージしながら選ぶと、料理を作るのが楽しみになり、さらに食欲も沸いてきますし、より食事を楽しむきっかけにもなるのでしょうか。

より美味しくしてくれる魔法

 切子ガラスの食器のもうひとつの特徴は、高価であり、お気に入りであるため、器やグラスを今までよりも大切に使うようになるということです。使っているうちに、馴染んできて、思い入れも増します。安い器はどうしても粗雑に扱ってしまいがちですが、器を大切にして使うという心がけはエコロジーの面からもいいことだと思います。また、器やグラスとともに思い出も募るものです。誰かと一緒に楽しく食事をした思い出や、記念日の食事などの思い出を、器やグラスを使うことにより、その記憶の一辺を思い出すことができるのではないでしょうか。グラスや器も楽しみながら食事をするということは、ファッションの一部でもあるかもしれませんね。カッコいい大人の食事には、やはりそれなりの食器が似合います。
 さらに、よいグラスは直して使うことができます。ちょっと欠けてしまったものは削り直して、また使えるようにするんです。古美術といわれるアンティークガラスの修理なども請け負っています。安価なグラスでは、ちょっと欠けてしまっただけですぐに捨ててしまうことでしょう。でも、大切に使ってきた器やグラスは、簡単に捨てることもできません。こうすることで、モノを大切にするという心が生まれます。
 切子ガラスも進化しています。薩摩切子ガラスの伝統的な柄もいいですが、その技術を進化させた斬新な柄も多く生まれ、だんだんと切子もスタイリッシュになってきています。このような新しい柄は若い人にも人気があり、切子がより多くの人に親しまれるきっかけにも役立っています。ぜひ一度、新しい切子の世界を垣間見てはいかがでしょうか。また、一度、切子ガラスで食事を楽しんでみてください。

工房の写真

プロフィール

高橋 太久美(たかはし たくみ)

花切子の職人であった叔父に弟子入りし、その後、23歳で独立して「たくみ工房」を立ち上げる。40歳から薩摩切子の復元を手掛けるようになる。現在までに独創的な創作オリジナル切子も次々と発表している。同時に切子教室を主宰し、より多くの人に切子の素晴らしさを伝えている。目でなく、手で間隔を覚え、心でカットするという数少ない切子作家である。

高橋 太久美さんの写真

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