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勝手にトレンドウォッチャー 次は絶対、コレが来る!専門家が次のトレンドを大予想!?

飲食店プロデューサー、フードコーディネーター、マスコミ業界人など、食に関わる専門家が「次なるトレンド」というテーマで私論を展開します。当たるも八卦、当たらぬも八卦。さて、今月の専門家は何を予想しますやら…。

7月のゲスト 一瀬 泰輝 有限会社一瀬商店 店主 私が気になるもの マグロの将来

今月は、海外からの観光客も多い築地市場で、マグロの仲買いを営む一瀬さんがゲストです。なんと、築地市場には魚介を扱う店が約750軒あり、その中でマグロ専門の店が240軒もあるのだそうです。先程、モナコワシントン協定での地中海の黒マグロの輸出禁止は反対多数で否決されましたが、マグロを食す日本人にとって、もし可決されたら大問題になっていたはず。そこで今回は、マグロの魅力と将来像について、トレンド論として述べてもらいました。

マグロは多種多様

 日本人は全世界の約4割のマグロを食していると言われています。小さい頃から、マグロを食べている日本人は食卓にマグロがあがるのも違和感がないかもしれませんが、これだけマグロを食べる国は他にはないことを知っている人は少ないのではないでしょうか?
 「マグロ」と一言で言っても、多くの種類があるんです。まず大別すると、「おおもの」とか「太もの」と呼ばれるマグロと、「ながもの」と呼ばれるマグロに分けられます。
 「おおもの(太もの)」とは、文字通り、大きくて、太さもあるマグロのことで、本マグロやメバチマグロ、インドマグロ、キハダマグロ、ビンチョウマグロなどが挙げられます。また、本マグロは黒マグロと呼ばれたり、インドマグロはミナミマグロと呼ばれることもあります。よく聞く、ビントロとはビンチョウマグロのことです。
 一方、「ながもの」とは主にカジキマグロのことですが、これも種類が沢山あるのです。メカジキ、マカジキ、クロカワカジキ、シロカワカジキ、バショウカジキなどがそれに当たります。
 また、マグロの種類によって、主に食べられている地域や用途も様々です。キハダマグロは名古屋以西で多く消費され、カツオの仲間でもあるビンチョウマグロは、子供も大好きなシーチキンの主な材料になっています。ながものに至っては、より地域性が高く、関東ではメカジキを照り焼きにするのが定番ですが、東海地区では生で食します。マカジキは九州での消費が多く、シロカワカジキは贈答用の味噌漬けや粕漬けの材料として人気があります。

マグロのつくりの写真

エッ!マグロが食べられなくなる?!

 今年になって市場のマグロ関係者を震撼させたのが、モナコワシントン条約です。地中海からの黒マグロの輸出禁止の可否をめぐるもので、最終的には否決されましたが、これは大きな問題でした。クジラの二の舞になるのではないかと危惧した人も多かったのではないでしょうか。あまり知られていませんが、蓄養の本マグロは、ほぼ地中海で獲られており、スペインやトルコ、ギリシャ、クロアチアなどが主な地域になります。その地域のマグロに至ってはそのほとんどが日本に来ていると言っても過言ではありません。スペインではマグロをほとんど自国で食べません。日本のためにやっている漁であって、日本の大手商社の船も多く出ているんです。つまり、輸出産業として大きな市場が日本にあるわけです。

マグロのコチュジャン和えとカルパッチョの写真

今回の協定では輸出禁止は否決されましたが、今後どうなるかは本当に心配です。むしろ、否決されて安心するのではなく、今回をきっかけに、最大消費国として率先して資源について考えていかねばなりません。
 漁獲制限は回避されたものの、消費の方でもライバルが出現してきています。今までマグロの消費大国は日本でしたが、近年、中国や韓国、台湾でのマグロの消費が爆発的に伸びているのです。生のまま刺身で魚介を食べる国というのは日本以外でもそれほど多くなかったのですが、今では、中国の特に富裕層に人気があります。それに、韓国ではコチジャンをつけて食べるそうです。香港や台湾では寿司ブームでマグロが目玉になっており、その影響でしょうか、なんと、昨年、今年と築地市場の初セリを落とした中には、海外からの買い付けもありました。
 初セリでは200kg以上のマグロを高額で買っていきました。インド洋の漁場でも日本船だけでなく、多くの国の船が漁をしています。  勿論、マグロは日本人だけのものではありません。その美味しさが海外の人にも認められつつある現状は、日本の食文化が世界に認められたようで嬉しい気分でもあります。しかし、広い海とはいえ、そこから獲れる漁は決まっているわけですから、マグロの消費動向は今後も気になるところですね。

気になるマグロの未来

 昨今の冷凍技術の進化、運搬の迅速化により、冷凍でも、生でも美味しいマグロが流通できるようになりました。
 遠洋漁業のマグロ船は1隻300トンあまりで、20人ほどが乗り込み、半年から1年かけて漁をします。昔は船がいっぱいになったら日本に戻って来ていたのですが、今は運搬専用の船が出て、随時マグロを運んでいます。さらに、インド洋のマグロも生のまま空輸される時代に突入しています。
 マグロは泳ぐのをやめて、止まってしまうと死んでしまいます。だから、寝ているときも、泳いでいるんです。釣ったあとの処理がどれだけ迅速にできるかで鮮度が変わってきます。後頭部を絞め、神経を抜いて、血抜きし、内臓をとってしまうのが大切です。
 漁の仕方も色々とあります。一本釣りは通常、船に1〜2人の漁師しか乗っていないために、処理にやや時間がかかることもあります。一方、巻網漁の場合は、網の中でマグロ同士がぶつかってしまったり、網に絡んでしまったりして、傷がついてしまうことがあります。はえなわ漁は日本ではあまり行われていませんが、海外では多く行われている漁法です。それぞれ一長一短あり、一概にどの漁法がいいというわけではありません。
 泳いでいないと死んでしまうマグロの性質故に、巨大な生簀が必要にもなり、養殖が難しかったのですが、今では技術の進歩により養殖ができるようになってきています。卵から孵化させる完全養殖も成功例がいくつかあります。コストの問題などもありまだまだ難しい現状にありますが、稚魚から育てていく蓄養は技術も目覚しく進化しています。実は、京都や高知、長崎などで大手水産メーカーなどが巨大な生簀を海に作り、マグロを育てているんです。
 一方、消費の立場から見ると、今までマグロと言えば、刺身かシーチキンかといったところでしたが、マグロ専門の料理店なども増えてきています。牛肉のホルモンのように、マグロも各部位や内臓も食されるようになってきました。ホホ肉やテール、カマ、目玉なども料理に使われています。マグロは高たんぱく、低脂肪のヘルシー食材としても見直されつつあります。
 日本人の食文化に深い関わりを持つマグロですが、意外と知られていないことも多く、もっとマグロについて知ってもらうことが私の使命だと感じています。

マグロのしっぽステーキの写真

プロフィール

一瀬 泰輝(いちのせ やすてる)

日本一大きい市場である築地で50年続くマグロの仲買店「一瀬商店」の2代目店主。一瀬商店では、遠洋で獲れた冷凍マグロを主に扱っている。マグロを熟知し、こよなくマグロを愛しており、マグロの美味しさを多くの人に伝えたいと様々なジャンルの人との交流を図っている。それと同時に、マグロの扱い方、食べ方についても伝授している。マグロの将来を危惧しつつも、日本人に美味しいマグロを提供し続けることを使命に感じているのだそう。

一瀬 泰輝さんの写真

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