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勝手にトレンドウォッチャー 次は絶対、コレが来る!専門家が次のトレンドを大予想!?

飲食店プロデューサー、フードコーディネーター、マスコミ業界人など、食に関わる専門家が「次なるトレンド」というテーマで私論を展開します。当たるも八卦、当たらぬも八卦。さて、今月の専門家は何を予想しますやら…。

9月のゲスト 永田 憲司 米食味鑑定士 私が気になるもの エコロ米

9月のゲストは、こだわりの食品店を営む永田憲司さんです。食品販売店主に似合わず、農産地を自分の足で見て回り、農家と語らうことで、消費者に美味しい米を紹介したいと考える食の達人。米食味鑑定士という資格を有す永田さんが数ある米のブランドの中で推すのは「エコロ米」です。少し耳慣れぬブランドのようですが、実は作り方やその風味にも優れた点がいっぱいあるそうです。では、永田さんがトレンド候補に挙げる「エコロ米」について語ってもらいましょう。

米食味鑑定士と水田環境鑑定士が選んだ米

 かつてはお米屋さんで、ブレンド米を買っていた人が沢山いましたが、グルメブームの高まりとともに消費者にも米に対する知識が蓄えられ、今ではブランドを指定して買って行く人が増えました。北海道の「きらら397」や「魚沼産コシヒカリ」「秋田こまち」など人気のブランドを挙げれば切りがないのですが、その中でも私が最も注目しているのが兵庫県の村岡地区で穫れる「エコロ米」です。
 「エコロ米」とは、神鍋高原の近く、美方郡香美町村岡地区で作られているコシヒカリ(特別栽培米)のこと。同地で水田環境鑑定士から特Aという最上の評価を得た水で栽培し、土づくりも但馬牛の堆肥を100%使用。その上、肥料にも有機質肥料を使い、農薬の使用も制限しながら作った米を指しています。収穫量の増加を目指すのではなく、いかに食味を良くするかにこだわりを持ちながら作っている米なのです。
 そもそも、村岡地区が属するJAたじま農協は、熱心に美味しい米作りに取り組んでいた組織でした。村岡地区には50〜60軒の農家があるのですが、そのうち指定した栽培暦(栽培の仕方や使う肥料などを限定したもの)をクリアしているのが10軒強だけであり、それらの人達が作った米を「村岡米」と称して販売していたのです。この地域循環型農業(地元・但馬牛の堆肥を使うなどしている農業)を実践している村岡地区の農家が作った米(村岡米)の中で、私のような米食味鑑定士(米のソムリエのようなもの)と水田環境鑑定士の資格を有している者が売っているものを「エコロ米」と呼んでいるんです。
 神鍋高原から程近い村岡地区は、棚田が多いことでも知られており、昔の自然状態が残された地域。寒暖の差が激しく、その上、水がいいために米作りに適していると言われていました。そこに栽培暦を指定するという厳しい条件下で、美味しい米を作りたいと考える熱心な農家が出てきたことが、「エコロ米」が誕生するきっかけでした。ただ作量が限られているために、当然ながら大量生産は不可能です。そのため一般スーパーでは「エコロ米」を販売することができません。だから、私がトレンド候補に「エコロ米」を言ったところで、大半の人は「そんな米は聞いたことがないなぁ」との感想を持ったのではないでしょうか。

永田(ながた)さんとお米の写真

冷めて美味しいとの評価があるバランスのいい米

 私が思うに「エコロ米」は、バランスがとれた米です。甘み、粘り、コシの強さがあり、粒がしっかりしているという特徴を持っています。私はよく長野県伊那地区で穫れたコシヒカリをお客さんに薦めているのですが、水分がしっかりあり、もっちりしているこの米よりも、むしろ「エコロ米」の方がバランスという点では優秀だと思っています。その良さは数値にも表れており、「エコロ米」は食味値のスコアが85以上(一般的な米は70ぐらい)で、アミロース値が22%以下になっています。

永田(ながた)さんとお店の写真

 当然ながら専門家からの評価も高く、食味分析鑑定コンクール国際大会で3年連続して金賞を受賞した実績を持っているほど。ちなみにあの魚沼産コシヒカリでさえ、金賞受賞は2年連続なのですから、その評価たるや推して知るべしでしょう。
 私が営むこだわりの食品店「ファーマーズテラスナガタ」では、現在、この「エコロ米」と熊本の有機JAS認定「にこまる」、島根の「仁田米」、北海道の「ほしのゆめ」、そして福井、長野、新潟(佐渡)の「コシヒカリ」という7種のブランド米を販売しています。玄米で置き、店頭で精米するという方法をとっているために、お客さんからも好評を得ています。その7つの米の中でも「エコロ米」を買って帰った人からは「冷めても美味しい」とか、「昔食べた米のように、糠の旨みがきっちり出ている」との評判があります。値段は1kgが600円と高いのですが、確実にリピートしてくれるんですよ。

真面目な農家の思いを伝えたい

 かつて全国の米売場は悲惨な状況でした。昔は米を買うなら米屋でとなっていたのが、スーパーで売るようになり、ホームセンターでも扱うようになってからは低価格競争が収まりません。安売りの米が横行してしまうと、農家は手間をかけることができなくなるため、当然の如く美味しい米が作れなくなってしまうのです。私は農業の現場を歩くにつけ、正価で買ったり、売ったりしないと、いずれ日本の農業がつぶれてしまうのではと危惧したのです。真面目な農家からまともなものを作りたいとの思いを聞く度に、私達のようなバイヤーが、真っ当な米を消費者に伝えないといけないと思うようになったんです。
 私は名古屋や大阪でも玄米の計り売り専門店を出していたのですが、昨年夏に箕面(大阪)にオープンさせた「ファーマーズテラスナガタ」では、大量生産のものに目を向けず、ひたすら少量のこだわり食材のみを販売することに主眼を置いています。だから米も7種類。しかも店頭で玄米を見せ、店で買ってもらった時に精米する販売手法を貫いています。昨今のデジタル時代には、おかしいと思うくらい、対話と説明を重視するアナログ的な売り方で評判を得ているわけです。
 米販売の業界では1kg当たり400円を超えるのが目標といわれている中で、「エコロ米」は600円もし、「にこまる」に至っては700円の値をつけているほどの米です。それでも食育に熱心な方や美味しいものを求めている人は、躊躇なく買っていきますね。高いものを売りたいというのではなく、真摯に農業に取り組んでいる農家が作った美味しいものだけを、できるだけ多くの人に食べて欲しい―、そんな考えからまだまだ世に伝わっていない「エコロ米」をトレンド候補に挙げました。「エコロ米」のような米の評価がより一層上がってくれることで、豊かな食生活を得る人が増えることを私は願ってやみません。

お店の写真

プロフィール

永田 憲司(ながた けんじ)

箕面市小野原にてこだわりの食品ばかりを販売する「ファーマーズテラスナガタ」を昨年7月にオープンさせた。野菜は高松などから産地直送させ、一夜干しや、魚は淡路島の漁協から買い付けるというこだわりよう。その他の商品も少量生産のものに着目し、一般スーパーで売っていないものばかりを揃えている。米については同店以外でも名古屋や大阪で玄米の計り売り専門店で販売している。品揃えしないのと大量生産品を売らないのが信条だとか。

永田 憲司さんの写真

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