サントリーグルメガイド全国版

サイトマップ

勝手にトレンドウォッチャー 次は絶対、コレが来る!専門家が次のトレンドを大予想!?

飲食店プロデューサー、フードコーディネーター、マスコミ業界人など、食に関わる専門家が「次なるトレンド」というテーマで私論を展開します。当たるも八卦、当たらぬも八卦。さて、今月の専門家は何を予想しますやら…。

3月のゲスト 佐々田 善彦 神戸生菓子経営研究会会長 私が気になるもの 神戸らしい和菓子

神戸というと、どうしても洋菓子が頭に浮かびがちですが、和菓子にも目を見張るものがあります。神戸にて和菓子のイメージアップに取り組んでいる佐々田善彦さんが今月のゲスト。トレンド候補には、和菓子店店主らしく「神戸らしい和菓子」を挙げてくれました。洋菓子イメージの強い神戸で、それを凌駕する「kobe style」の和菓子が今後出てくる可能性があり!それが現れる前にトレンド論として神戸の和菓子店主らの取り組みを聞いておきましょう。

和菓子店は後継者不足

 俗に神戸グルメと呼ばれるものは、世界に名を馳せる神戸ビーフを筆頭に、フレンチやイタリアンなどの西洋料理、そして中華料理、パン、スイーツと、色んなものが挙げられます。特に洋菓子に関しては、これを目当てに旅行で訪れるという人もいるほどで、そのレベルの高さが窺えます。
 神戸では、洋菓子の陰に隠れている感を持たれているのが、私達が生業(なりわい)としている和菓子業界ではないでしょうか。和菓子業界とて、ただ単に営業を続けているのではなく、各店が個性のある商品づくりに取り組んでおり、切磋琢磨して昨今のグルメ時代に対応しています。しかし、考えてみると、歳時や歴史に沿って菓子文化を担っていく和菓子は、いつの時代でも京都に意識があったように思います。神戸も京都の和菓子文化に倣って、いつの日か、和菓子を求めるために神戸へ旅すると言われるようにならなければいけません。
 これは神戸の例だけではないのですが、全般的に見ても和菓子店は後継者不足に喘いでいます。特に全国からパティシエ志望の若者がやって来る神戸では、その差は顕著に表れています。マスコミ映えがよく、華やかなイメージなのもその要因でしょうが、それに加えて和菓子店は家業を継ぐイメージが強いためか、神戸の有名な洋菓子店のように企業に勤めるという感じがないのは事実でしょう。
 極端にいえば、洋菓子はミキサーとオーブンがあれば何とか成り立つのですが、和菓子は焼く、蒸す、搗(つ)く、焚くの手法を用いるために専門機器も多岐に亘るのです。それに型などの小道具も揃えないといけないために、多大な設備投資を余儀なくされます。このようにお金をかけてまで、新規にオープンするほど魅力があるのかと問われれば、小首を傾けざるをえません。
 ましてや神戸は先の阪神淡路大震災の影響もあって市内では3割の和菓子店が暖簾を下ろしました。倒壊した店を再建してまで、この業界に残ろうと考えた人は少なかったようです。だからといって私達も和菓子の世界をこのままにしておこうとは思っておらず、子供に家業を継がしたいと思う、また新規参入してもいいと思えるような魅力あるものにしていかねばならないと考えています。神戸・阪神間の和菓子店や関連業者が加盟する神戸生菓子経営研究会でもちょうど今年が50周年にあたるために、それを機に色んなことにチャレンジしていこうとしているのです。

和菓子の写真

和菓子にkobe styleを持たせる

 50周年の年に取り組もうとしているのが、「神戸らしい和菓子」づくりです。神戸の地名は、全国的に見てもブランド力があり、今でも暮らしてみたい地No.1に輝いているほど。その証拠に神戸とは縁りが少ない企業でさえ、ネームバリューの効果を利用しているようです。そこで知名度があり、商品イメージのいい神戸に根を張っている私達が、広い視野に立って神戸の和菓子というものを提唱すべきではないかと考えたわけです。
 では、何を作っていくかというのは、まだまだ未知数で、ここで挙げるべきものではありません。ただ、私達が取り組んでいるひとつは、神戸市内や近郊農家から米穀類や果実などを仕入れて、神戸の地産地消の和菓子が作れないかということです。神戸は市街地のイメージが強いために農村部の存在は薄いのですが、実は海、山が近いために自然環境にも恵まれ、農地作付面積もかなりあります。その上、丹波大納言でも有名な丹波地方からも近く、日本酒の原料で知られる山田錦の産地も程近いために、優れた農産物が沢山集まっている地だといえるでしょう。
 神戸生菓子経営研究会の会員でもある「満月堂」の吉村さんの伝手で、神戸市の北に位置する淡河町の農家と接触し、その土地で穫れた米を使って、神戸らしい和菓子ができないかと模索しています。仮りに近隣の立抗焼ともコラボレートできれば、本当に神戸の地産地消の和菓子が生れるに違いありません。このような生産者といい関係を築いた上で、面白い和菓子が完成すれば、それは「神戸」の冠を付けて売り出すにたる商品になるでしょう。

和菓子の写真

 くしくも現在は米粉にスポットが当たっています。米粉は和菓子とはなじみ深い原料でしたが、今はパンや洋菓子の分野でもそれが用いられるようになってきました。一般的に米粉には2種あって、ひとつは粳(うるち)米で、これを用いて米粉パンなどが作られています。もうひとつはもち米の原料になるもち粉です。これを100%使うと、商品に用いにくいといわれていましたが、逆転の発想からすれば、今までにない商品が作れるかもしれません。こうして考えていくと、私達の発想はさらに広がっていくのです。
 淡河町の農家やJA兵庫六甲と、神戸生菓子経営研究会の代表者がこれまで接触を重ねてきて、ようやく今年の2月2日に生産地での見学会を開催しました。各々がその地の米を持ち帰って試作するのですが、その前に製粉メーカーの方を招いて、米粉とは何なのかという講義をしてもらったのです。そしてサンプルリポートを生産者(JAや農家)に渡すことから神戸らしい和菓子づくりをスタートさせようとしています。今回は既存の米で行いましたが、リポートの内容次第では、休耕地で和菓子づくりのためのオリジナル米をつくってもらう、なんてことも出てくるかもしれませんね。もし、このことによっていい米ができれば、私達の団体だけで独占するのではなく、洋菓子など他の分野に売り込んでいってもいいと思うのです。とにかく地元の美味しいものを作るのが狙いで、同時に和菓子店同様、後継者不足に喘ぐ農家にもやりがいを持ってもらえれば、と考えています。
 第一弾として神戸産粳米を使用して「kobe style」の和菓子に取り組む、第二弾は神戸産の小豆を、そして第三弾は…という具合に神戸らしさを年々確立していけば、きっときっと個性的な和菓子が誕生するはず。これまで我々の団体は、一過性のイベントで宣伝してきました。それで収益をあげることは決して悪いことではありませんが、50周年にあたる年には、もっともっと長期的なプランを立てて和菓子のことを考えていきたいのです。さもすると、目先のことにとらわれがちですが、あえてこんな時期だからこそ、長い目で物事を見てモノづくりをすることが大事なのです。そして10年先、20年先には、和菓子業を継ぎたいという若者が出てくることを望んでいるのです。
 今回のトレンド候補に挙げた「神戸らしい和菓子」は、形がまだ見えず、抽象的にも映りがちですが、少子高齢化や後継者不足に喘ぐ日本が取り組まねばならない問題かもしれません。そういった意味でも、我々が「神戸らしい和菓子」づくりを目指すと同様に、各地域にも特色のある食べ物が出てくればいいでしょうね。
プロフィール

佐々田 善彦(ささだ よしひこ)

JR神戸駅前で百年近く続く和菓子店「幸福堂」を、父親の佐々田善繁さんといっしょに営む。瓦煎餅で有名な「菊水總本店」で修行を積んだという初代・佐々田為繁さんが大正6年に独立して以来、神戸でその伝統を守りながら和菓子づくりを行っている。「幸福堂」の5代目となる佐々田善彦さんは、現在、神戸生菓子経営研究会の49期の会長を務めている。ちなみに同会は昭和36年に設立された神戸・阪神間の和菓子店らが属する団体で、約30軒ある和菓子店と、それに関係する問屋や製造業者が参加している。50周年を迎えた同会では、神戸の地で洋菓子に負けないイメージづくりと体勢づくりに取り組もうとしている。

佐々田 善彦(ささだ よしひこ)さんの写真

このページの先頭へ

バックナンバー
コンフィチュール(ジャム)柚子胡椒団子大阪の文化徳島県の農産物韓国のお国事情神戸らしい和菓子アメリカの食事情手作りバームクーヘン歴史を背負った新人的な街海藻のタルタル地方産のエビエコロ米ターメリックマグロの将来マシュマロなにわの魚菜調理法による減塩効果つけ麺の全国化発酵食品ソースカツ丼食器と遊び心ジャガイモの未来切子の日常使い手軽に食べられる本格派スイーツ熊本食引き算をしないヘルシー料理術食住一体型飲食店シングルモルトのマリアージュ弁当箱しゃぶしゃぶの麺つゆだれ海鮮丼松江おでん小さな市場(しじょう)の復権色々な味噌漬け和風キムチ新感覚アウトドア和菓子発のスイーツカッコいいひとり呑みスープブレンド粉食農教育こだわりの道具ハンガリー料理家庭の中のテーブルコーディネート野菜パフェフィナンシェのバリエーション紀州備長炭ドクターズ・レストラン温泉たまご摘み菜空飛ぶマグロ肥前あさくさ海苔ワンプレート・フード地元のお母さんの味森のような空間を持つレストラン猪肉(ボタン鍋)酒を飲みながらの団塊世代ライブこんにゃくそば黒糖と豆のマッチング卵かけご飯魚醤球形で黄金色したズッキーニ美的アクセントのあるモノかわいい形(色)のトマト黒豚バークシャー丹後のオイルサーディンエイシー美味しい"ずるさ"のおすそわけミルキークィーン永田農法の野菜無農薬・有機栽培の雑穀ホルモン焼きうどんマンチェゴ日向地鶏のもも焼き

全国版オススメ特集