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勝手にトレンドウォッチャー 次は絶対、コレが来る!専門家が次のトレンドを大予想!?

飲食店プロデューサー、フードコーディネーター、マスコミ業界人など、食に関わる専門家が「次なるトレンド」というテーマで私論を展開します。当たるも八卦、当たらぬも八卦。さて、今月の専門家は何を予想しますやら…。

7月のゲスト 坊垣 茜 フードコーディネーター 私が気になるもの 団子

7月のゲストは、フードコーディネーターとして、またフードライターとしても活躍中の坊垣茜さん。職業柄、色んな食に接している中で、これからはクラシカルなグルメの現代風アレンジが面白いと話します。その中でも注目すべきは、意外にも団子なのだとか。古くからある団子が、いかに注目の的として変身しているのかを町興しの例を挙げて説明してくれました。団子にまつわる蘊蓄とともに読んでください。

団子とは古くからのつきあい

 近頃、古き良きものが見直されているようです。一時期のロールケーキブームもそのひとつで、昔からあったロールケーキが「堂島ロール」のように今風にアレンジされ、人気が沸騰しました。かりんとうが東京でいきなり売れたり、柿の種がバリエーション豊かになり、スポットが当てられたりと、古典的なもののアレンジ版がどうも受けているように思えてなりません。
 そこで私がトレンド候補に挙げたのは、誰もが食べたことのある団子です。団子は私達の食生活の中で古くからあるもので、大和時代以前から日本人が食べていたと言われています。一説によれば、遣唐使が持ち帰った8種の唐菓子のうちの団喜(だんき)に由来するとも言われており、とにかく古(いにしえ)からの食べ物であったことは事実のよう。ただ、当時のものは今の団子とは形状が違っていたらしく、竹串に刺したものになったのは室町時代らしいですね。京都でみたらし団子が登場したのもこの時代で、その頃には団喜ではなく、団子と呼ばれるようになっています。
 団子は農村では主食の代用品として食べられており、焼き団子や団子汁がその代表的料理。一方、江戸時代に入ると、街道では甘みのある団子も茶店などで供されており、庶民の間ではおやつ的な用いられ方もされていました。
 私達は団子というと、どうしても串に通したものを想像しがちですが、団子汁もあるので、あながちそれが正しい形とは限りません。資料を調べてみると、団子と餅との違いは、前者が粉から作るもので、後者が粒を蒸して作ると書かれていました。けれど、柏餅やわらびもちのように餅でも粉から作るものもあるので、それが正しい定義かというと、首を傾げたくなります。米で作るものを団子と呼ぶのかというと、そうでもなく、昔は主食の代用品と考えられていたため、大麦や小麦、稗、粟など色んなものを製粉して使っている場合もあるようです。中でも桃太郎の話に出てくるようなきび団子は特に有名で、今では岡山県を代表するお菓子のひとつになっています。ただ最近の製品はきびの割合が低く、中には使用していないものもあるそうです。

団子の写真

全国各地には、色んな団子が・・・

 全国には色んな団子が見られます。有名なものでは、追分団子が挙げられます。これは江戸城を造ったという太田道潅が、武蔵野で鷹狩りの帰り道に食べたことに始まると伝えられています。高井戸付近で歌宴を開いたときに、近くに住む人が団子を献上。その味わいに道潅が心を打たれて以来、高井戸の地で団子が作られるようになりました。当初は道潅団子と呼んでいたのですが、元禄期に内藤新宿が伝馬の宿駅になり、柳茶屋もその変遷とともに新宿追分に移ったために、いつしか追分団子と呼ぶようになったとか。

色々な団子の写真

 みたらし団子は誰でも一度は食べたことがあるでしょう。砂糖醤油の葛餡をかけたおなじみの串団子ですが、実はこの団子は京都が発祥なんです。下鴨神社の境内の糺(ただす)の森にある御手洗池(みたらいのいけ)の水泡を模して作ったのが始まり。今でもある「みたらし茶屋」がルーツの店と言われています。ここでのみたらし団子は、5つの団子を串に刺したもので、やや小ぶり。一番上の団子が大きく、下の4個とはやや離して刺されています。これは上を頭とし、下の4個は四肢として表しているからです。つまりルーツとなるみたらし団子は人間の形を表していたんですね。
 小説との絡みで登場し、今では松山の名菓になっているのが坊ちゃん団子です。夏目漱石が教師として松山に住んでいた時にそれを食べ、印象的だったのか「坊ちゃん」の中で「温泉に行った帰りに一寸食ってみた」と記しています。この温泉とは勿論、道後温泉のことで、道後温泉本館の東にある丘辺りの茶店で販売していたそうです。当時のものは湯ざらし団子で、赤餡と白餡の団子を3つ串に刺して売っていたのだとか。漱石が松山にいた時代にはまだ小説「坊ちゃん」は誕生していなかったので、そんな名前がついたのは、どうやら昭和に入ってからのようですね。

団子が町興しに一肌脱いだ?!

 団子というと、私はどうしても地方の色が強いように思えてなりません(偏見かもしれませんが・・・)。最近、地方で団子が町興しに一役買っている(?!)との話を聞いたので出かけてみました。その場所は京都府宮津市。日本海に面した港町で、近くに日本三景のひとつ、天橋立があります。市の中心部にある丹海バス宮津案内所「キセンバ港館」内の「丹後でダンゴ」が目的の場所。ここでは今年の1月から搗(つ)きたての団子を販売しています。地元でIT関連会社を営み、宮津まちづくり研究会の一員でもある稲葉年治さんに話を聞くと、「地元で穫れる丹後米が美味しくて、この味を広めたいと思ったのが団子誕生のきっかけだった」とのこと。稲葉さんが言う宮津の米とは、丹後米コシヒカリで、'07〜'09年まで3年連続特Aに輝いたほどの逸品。ねばり気が強く、甘みのあるのが特徴の米です。この米を使って名物団子を作ろうと考えたのは、美食家でも知られる谷嵐礼子さんで、「丹後でダンゴ」のネーミングがまず頭に浮かび、実行に移したらしいのです。こだわりの強い谷嵐さんは、稲葉さんを伴い、全国の有名団子を食べ歩いたというから頭が下がります。そうしてできたのが、丹後米コシヒカリを使ったみたらし団子でした。
 特筆すべきは、白米と玄米のみたらし団子があること。特に3年連続特Aを受賞した京都丹後米特産品コシヒカリの玄米を使って作った団子は、食べるとプチッとした食感がし、実に美味しいのです。普通、団子というと、粉から作るのですが、ここでは米の特性をいかしたいと考えたのか、なぜか米を蒸してそれを搗いて作っています。だからでしょう、食べると柔らか。例え、冷凍して送り、自然解凍したとしてもその柔らかさは変わりません。従来のものは翌日になると、固くなってしまうのですが、その製法からか柔らかい食感が保たれていました。

みたらし団子の写真

 みたらし団子は、地元の醤油メーカー・袋屋醤油の「あしぎぬ」を使用。タレのとろみは、健康面でも注目されている寒天を用いることで、独特の味わいになっています。また、よもぎ団子は細川ガラシャが本能寺の変の後に隠れた味土野という地のよもぎを摘んできて作っているそうです。この他にも小松菜やホウレン草、ブロッコリーを加えて作ったベジタリアン団子や、メロン団子などユニークなものが並んでいます。製造・販売を行う「京都丹後米製造所」の話では、「玄米で作った団子を揚げたものや、夏バージョンの団子スイーツも考案中」とか。女子に人気なのもわかりますね。
 構想1年半でオープンした「丹後でダンゴ」ですが、町を象徴するレトロな洋館(大正15年建設。以前は丹後海陸交通の本社があった所で、最近まで待合室として使用していた)の中にあるわりには、内装はポップ。それがミスマッチして受けているのか、この日も女子学生が学校帰りに寄っては、サントリーの自動販売機でお茶を買って団子を食べてました。団子というと、どうしても年配の人を購買層に描きがちですが、宮津では子供たちや若い層に支持されているそうです。
 町興しの一環として進められたこの団子プロジェクトがなんと「FOOD ACTION NIPPON アワード2010」にて、製造・流通・システム部門で入賞を果たしたそうです。そんな話を聞くと、私のトレンド論も信憑性が増してくる(?!)と思いませんか・・・。

キセンバ港館とみたらし団子の写真

プロフィール

坊垣 茜(ぼうがき あかね)

大学卒業後に辻学園のフードコーディネーター養成講座を受講したのがきっかけとなり、当時勤めていた会社を退職後、食の世界へと進む。書籍やウェブのレシピ制作、フードスタイリング、飲食店のメニュー提案、フードライティングなどをこなす。ウェブサイト「うちのごはん.jp」では、手軽でボリュームのあるレシピを毎月連載している。サントリーのHPでも新着レシピやクッキング選手権でレシピを披露。最近の趣味は、自身のブログの更新で、簡単なレシピや食べ歩き日記などを更新するのが楽しみなのだとか。

坊垣 茜(ぼうがき あかね)さんの写真

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