メインコンテンツへ

サントリーグルメガイド全国版

サイトマップ

勝手にトレンドウォッチャー 次は絶対、コレが来る!専門家が次のトレンドを大予想!?

飲食店プロデューサー、フードコーディネーター、マスコミ業界人など、食に関わる専門家が「次なるトレンド」というテーマで私論を展開します。当たるも八卦、当たらぬも八卦。さて、今月の専門家は何を予想しますやら…。

8月のゲスト 岡林 香代子 フードコーディネーター・料理研究家 私が気になるもの 柚子胡椒

今月はフードコーディネーターであり、料理研究家でもある岡林香代子さんがゲスト。岡林さんは自ら料理をする時にも、料理教室のレシピを考える時にも辛みをつける際には柚子胡椒を活用するとのこと。そんな経験もあってトレンド候補に九州の調味料である柚子胡椒を挙げてくれました。和の薬味として使われがちな柚子胡椒が、なんとエスニック料理に合うそうです。意外な汎用性にグルメなら覚えておく必要がありそうです。

九州で多用されている調味料

 四川や、韓国、インド、タイなどアジアには、辛みを求める食文化があります。それに比べて日本料理には辛みに特徴のある料理が少ないようですね。こと薄味が特色の京懐石では、途中に辛みのある一品を挟んでしまうと、味がその後わからなくなってしまうために、あえて強い香辛料を用いたりしていません。唯一、あるとすれば、刺身にワサビをつけるぐらい。ワサビについては毒消しの意味もあって、よく用います。
 こうは言ってみるものの、日本料理が辛みを欲しないかというとそうではありません。塩コショウは多用していますし、唐辛子を使った料理もあります。その上、ワサビ、生姜といった香辛料もよく使われています。
 私が気になるものとして挙げる柚子胡椒も和食で用いる香辛料のひとつ。柚子胡椒自体は、九州でよく用いられる薬味で、全国的にみると、あまりなじみのない地域もあるかもしれません。柚子の皮を細かく刻んで、唐辛子と塩をすり合わせて作ります。柚子が原材料となっているので、香りがよく、ピリッとした辛みととても爽やかな香りが印象的です。名称に“胡椒”と付いてはいますが、一般でいうコショウは用いられていません。九州の一部地域では、昔から唐辛子のことを“コショウ”と呼んでいるらしく、作る際に柚子の表皮と唐辛子を使うことから“柚子胡椒”と称するようになったそうです。
 一口に柚子胡椒といっても青・赤・黄の3種が存在します。最もポピュラーなのは、青柚子胡椒で、これは青柚子と青唐辛子の組み合わせからできたもの。フレッシュで、辛みがきつくないために、汎用性があります。一方、黄色柚子と赤唐辛子で作る赤柚子胡椒は、辛みが強いため、ほんの少しだけ使っても特徴的な辛さを味わうことができます。あと黄色柚子と黄唐辛子の組み合わせによる黄柚子胡椒というのがありますが、これは時期と数量に限りがあるために、量販店では見かけることが少ないようですね。

青柚子胡椒と赤柚子胡椒の写真

エスニック料理との相性抜群

 柚子胡椒をよく用いるのは鍋料理。鍋からスープを取り出し、そこに入れるだけで、柚子の香りと独特の辛みが楽しめます。そのために西日本の料理屋では鍋の薬味としてよく提供されています。その他に団子汁やうどん、味噌汁にも使われるため、どちらかというと汁系料理の薬味と誤解されそうですが、実はワサビのような使い方で刺身につけて食べても美味しいのです。魚だけでなく、同様の使い方で焼き鳥や焼肉につけて食す人も少なくありません。
 一見、和食の調味料のように思われがちですが、意外にもエスニック料理との相性も抜群で、柚子胡椒を入れて味付けすると、いつものエスニック料理と違った風味が楽しめます。

「鶏と夏野菜のココナッツミルク煮」と「玉ネギと海老のエスニックサラダ」の写真

 先日、私が主宰する料理教室では、「鶏と夏野菜のココナッツミルク煮」と「玉ネギと海老のエスニックサラダ」を教えたのですが、この2品にも柚子胡椒を用いました。前者はグリーンカレーっぽい味のもので、辛みとココナッツミルクの味が効いています。普段なら使わない柚子胡椒で辛みを持たすと、いつものそれよりクセがない、上品な味に仕上がります。この手の料理は辛みの強い赤柚子胡椒の方が合うようです。ただ煮込みすぎると、せっかくの風味が消えてしまいますので、仕上げに入れる程度がいいですね。
 片や「玉ネギと海老のエスニックサラダ」は、玉ネギと柚子胡椒、酢、砂糖、ナンプラー(なければ塩で)を混ぜて作ります。これらが混ざり、しんなりしてきたら茹でた海老を入れます。パクチーとパプリカを彩りと香りを楽しむ意味で加えれば完成。どこから見ても正真正銘のエスニック料理なのですが、食べると、柚子胡椒の味と香りがし、いつもの一皿とは違った趣が楽しめます。エスニック料理はクセがあるから苦手という人がいますが、そんな人にこそ、柚子胡椒を使うことをオススメしたいですね。柑橘系の爽やかな香りが独特のクセを消してくれますし、何より上品な味わいになるのがいいですね。

柚子胡椒の賢い保存法

 もっと意外なものではパンケーキに用いること。「お菓子に辛みのある調味料を使うなんて!」と思うかもしれませんが、逆に甘さが引き立つようになるんですよ。これはスイカに塩をかけて食べたり、一時期流行った塩キャラメルや塩チョコレートの理論に近いものがあるかもしれません。粉ではなく、卵と牛乳や、卵とココナッツミルクのように液状になったものに柚子胡椒を混ぜて作ります。小さじ1/3〜1/2ぐらいで十分。隠し味に使うのでそんなに多くは入れません。粉や牛乳の分量に対して少ないので、柚子胡椒の辛みが出てくることはなく、むしろ甘みを引き立てる役割を果たしてくれるのです。
 甘いものではクッキーを作る時の隠し味として役立たせても面白いでしょうし、一般の料理ではクリームシチューに入れてもいいでしょう。
 最近は洋食といえどもひと頃のようにコテコテしたヘビーな味わいのものが減り、どちらかというと、あっさり系のヘルシー路線を突き進んでいるように感じます。そうなってくれば、和の調味料が活躍してもおかしくはありません。日本の調味料は種類も多く、香りや旨みのいいものが沢山ありますから、ボーダレスに使ってほしいですね。
 最後にひとつ、私なりの柚子胡椒の保存法を伝授しましょう。一瓶買っても、どうしても使う量が限られていますから、一度の食事ではなかなか減らないのも事実。そんな時は冷凍庫に入れて保存すること。冷蔵庫だと、香りも飛んでしまいますし、早く劣化します。その点、冷凍庫だと日持ちもするのでいいです。おまけに固まらず、シャーベット状になっていますので解凍する必要もありません。シャーベット状の柚子胡椒を好みの分量だけ掬(すく)って使えばいいのです。シャーベット状のものが溶けた時には、いい香りが漂うので、より美味しく感じるはず。このように保存しておいて、汎用性を広げてやれば、柚子胡椒の活躍の場が広がり、もっともっとポピュラーな調味料に成長すると思いますよ。

パンケーキの写真

プロフィール

岡林 香代子(おかばやし かよこ)

テーブルコーディネートや家庭でできるおもてなし料理を主に教える“La Marmite”cooking salonを主宰する。自宅や知人宅で行うこの教室は、サロン的な要素が強く、自宅でのおもてなしの仕方が学べるとあって主婦やOLに好評だとか。インターネットでも「困った時のもう一品」レシピをZAQにて展開中で、毎日発信し続けている。その他、私立中学や高校での食育に取り組んだり、通販番組での調理を担当したりと幅広く活躍している。

岡林 香代子(おかばやし かよこ)さんの写真

このページの先頭へ

バックナンバー
コンフィチュール(ジャム)柚子胡椒団子大阪の文化徳島県の農産物韓国のお国事情神戸らしい和菓子アメリカの食事情手作りバームクーヘン歴史を背負った新人的な街海藻のタルタル地方産のエビエコロ米ターメリックマグロの将来マシュマロなにわの魚菜調理法による減塩効果つけ麺の全国化発酵食品ソースカツ丼食器と遊び心ジャガイモの未来切子の日常使い手軽に食べられる本格派スイーツ熊本食引き算をしないヘルシー料理術食住一体型飲食店シングルモルトのマリアージュ弁当箱しゃぶしゃぶの麺つゆだれ海鮮丼松江おでん小さな市場(しじょう)の復権色々な味噌漬け和風キムチ新感覚アウトドア和菓子発のスイーツカッコいいひとり呑みスープブレンド粉食農教育こだわりの道具ハンガリー料理家庭の中のテーブルコーディネート野菜パフェフィナンシェのバリエーション紀州備長炭ドクターズ・レストラン温泉たまご摘み菜空飛ぶマグロ肥前あさくさ海苔ワンプレート・フード地元のお母さんの味森のような空間を持つレストラン猪肉(ボタン鍋)酒を飲みながらの団塊世代ライブこんにゃくそば黒糖と豆のマッチング卵かけご飯魚醤球形で黄金色したズッキーニ美的アクセントのあるモノドライフルーツかわいい形(色)のトマト黒豚バークシャー丹後のオイルサーディンエイシー美味しい"ずるさ"のおすそわけミルキークィーン永田農法の野菜無農薬・有機栽培の雑穀ホルモン焼きうどんマンチェゴ日向地鶏のもも焼き

全国版オススメ特集